近況 2019 梅雨

ずいぶんと長い間このホームページを放置しておりました。
これはひとえに僕の怠惰な性格に依ります。
放置している間に丸々一ヶ月休んだり毎月営業時間を変更したり、好き勝手やっておりました。
SNSで告知をしてはいたものの、最もオフィシャルな場であるべきこのページの更新をサボっていたことを今さらながら反省しております。

さて、7月に入りました。
おかげさまで開店から丸二年が経ったことになります。
少し前まで自分でも忘れていたのに、最近たくさんのお祝いをいただき感謝 & 恐縮しております。
大変失礼な物言いですが、こんなことよく覚えていますね。
いや、すみません。
本当にありがたいです。

3月に持病の眠り病を発症して以来、営業時間を短縮して参りました。
なかなか以前の営業時間(14時〜23時)に戻らない為でしょうか、しばしばお客さんに体調を心配されるのですが、店主の体は至って健康であります。
ただ、大変ありがたいことに以前より少しお客さんの数が増えてきておりまして、9時間の営業が体力的に難しくなってきております。
もちろんこういう商売には「波」が付き物でありますので店が死んだように暇な日もございます。
一方で、平日にも関わらず開店から閉店まで動きっぱなしの日というのもあります。
これが読めない。パターンがない。
読めない、というのは不安なものです。
仮に毎日忙しい日が続いたとしてもなんとか一週間を乗り切れるであろう時間、という基準で営業時間を決めています。
遅まきながら7月の時間も決めました。
少しだけ夜を長くしましたので上方↑をご確認ください。

散々放置しておきながら、いざこうして文章を書き出すとついつい長くなってしまいます。
僕の悪い癖ですが、長いついでにいくつかお知らせを箇条書きにさせてもらいます。

・「店内での会話は小声でお願いします」という張り紙をしました。
「張り紙」「注意書き」を一切せずにどこまで居心地の良い空間を作れるだろうか。
……というテーマを密かに抱えていたのですが、少し前から制御不能な事態が増えてきました。
具体例は省きますが、端的に言うと「一人」「優しい」「繊細」「周囲に気を配ってくれる」etc. という、僕としては大事にしたいタイプのお客さんが結果的に損をしてしまう瞬間が増えてきたということです。
といって、会話に夢中になっているお客さんに罪はありません。
喫茶店で友人と喋るというのはごくごく自然なことです。
いくら店側が「静かさ」を重視していても、お客さん全員がそのことを知っているはずがありません。
少し悩んだ結果、はっきり表明すべきことは言葉で明示せざるを得ない、という結論に至った次第であります。
決して堅苦しい店にしたいわけではありません。
「お喋り厳禁」でもありません。
狭い店ですので少しだけ周囲への配慮をお願いします、という程度の意味です。
生意気なことを行って申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

・フレンチトーストが平日限定になりました。
ありがたいことに土日祝日は忙しくなることが多くなってきました。
忙しい時、例えば5名様分のドリンクを作りながら同時にフレンチトーストを焦がさないように焼く、というのは至難の業であります。
満席時に注文が連続した日には……(略)
苦渋の決断であります。

・アルバイトは募集しておりません。
毎月数件のお問い合わせをいただきます。
全員には返事ができておらず申し訳ありません。
残念ながら当店にはアルバイトを雇うような金銭的余裕がありません。
我が身一人を生かすことで精一杯。
巷のカフェがどうしてバイト代を捻出できているのか、2年やってみて謎は深まるばかりです。

まだしばらく梅雨が続きます。
梅雨が開ければ猛暑です。
ストレスフルな毎日に適度な句読点を。
そんな風にご利用いただければと思います。

【年末年始の営業予定】

12/19(水) 臨時休業

12/29(土) 通常営業
12/30(日) 最終営業
12/31(月) 定休日
1/1 (火) 定休日
1/2(水) 営業開始

1/7(月)〜 1/11(金) 冬眠

……というスケジュールにしました。

いやいや、今年もあっという間でございました。

時間経過の体感速度は加齢とともに確実に加速していますね。
こんな調子だともうすぐ死んでしまう。

先日、大学の同級生が店に来てくれました。

前回会ったのは3年前だね、という話になり僕は「はるか昔のことのようだ」と言いました。
対して彼は「俺は昨日のことみたいだけど」と言いました。
僕は「そうだね」と言いました。
あとで変な会話だな、と思いました。
でも少し考えて、やっぱり変じゃないと思い直しました。
つまり、「昔のようだ」と「昨日みたいだ」は真逆のようでほとんど同じことを言っているんじゃないかと思ったのです。

たまに高校生のお客さんが来ると、ちょうど自分の半分しか生きていないんだな、なんて考えます。

同時に自分の高校生活を昨日のことのようにも思います。

ああ、しっかりしないとすぐ死んでしまう。

日々を充実させねば。

などと言いつつ年明け早々冬休みをいただきます。

たっぷり寝るぞぉ。

【休業のお知らせ】

イベント出張およびその準備のため、誠に勝手ながら下記の日程は休業とさせていただきます。

11/10(土)
11/11(日)

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

どうでもいい話ですが、「珈琲牛乳ってカフェオレですか?」という質問があまりにも多いので、先日メニュー表記を「珈琲牛乳」から「カフェオレ」に変更しました。
するとどうでしょう、ご注文が倍増したではありませんか!
この言語的倒錯。
不可思議な現象。
これもコーヒーの奥深さの一部でありましょう。
ちなみにカフェオレは全メニューの中で最も自信のないもので、ご注文を受ける度にビクビクしています。

焙煎の催事

来月、岐阜県美濃加茂市のコクウ珈琲さんで焙煎にまつわるイベントがございます。
なんと、一流の先輩方に紛れて不肖星屑も参加させていただきます。
焙煎にご興味のある方はどうぞご予約をお早めに。
ご興味のない方は興味のありそうな方に教えていただけると幸いです。
なお、ご予約はコクウ珈琲さんまでお願いします。
弊店ではお受付けできませんのでご了承ください。
以下詳細です。

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「4人の焙煎」
~なぜ彼らは豆煎りをつづけるのか~
帰山人の珈琲遊戯/池ヶ谷靖
コクウ珈琲/篠田康雄
星屑珈琲/岩井啓悟
吉岡コーヒー/吉岡知彦
会場:コクウ珈琲 (岐阜県美濃加茂市太田本町1-7-1)

2018年11月11日 (日)
①13:00~14:30(12:30開場)
②17:00~18:30(16:30開場)
※①②各定員25名【予約制】
各回3,500円

◎4人が焙煎した豆のコーヒー飲み比べ(Pine Fields Marketさんのお菓子付き)
◎4人の「焙煎」についてのトーク
◎飲み比べのコーヒーを、各々の抽出方法で説明しながらドリップ
◎4人それぞれのコーヒー豆を販売

ご予約・お問合せ
info@s-riverbed.com
tel.0574-49-9840
直接コクウ珈琲店頭、またはメール、お電話で必要事項をお伝えください。
《必要事項》
1.お名前
2.参加人数
3.お電話番号
4.参加希望の回(①又は②)

【台風休業】

これまで頑なに台風を無視してきた弊店ではございますが、9/30(日)はお休みをいただくことにします。
直前のお知らせとなってしまい申し訳ありません。

立地に恵まれた弊店はありがたいことに天気の影響をあまり受けません。
台風の日でも店を開けていれば必ずお客さんが来てくれます。
時として満席になるほどに。

ですが今回の台風ばかりはあまりに危険そうです。
皆さまの身になにかあってはいけません。
……というのは建前で、ちょっと休みが欲しかったというのが本音です。

それではまた10月にお会いしましょう。

営業時間変更のお知らせ

いささか唐突ではございますが、7月から営業時間を変更させていただきます。

13:00 – 23:00   7/1(日)まで

14:00 – 23:00  7/4(水)から

と、開店時刻が1時間遅くなります。

1時間余分に寝てやろう、というわけではございません。
この貴重な1時間を使って毎日の焙煎回数を増やし、在庫を切らしがちな「売り豆」を充実させていこう、という魂胆です。

「わざわざ営業時間変えなくても、そんなのお前が1時間早く起きればいいだけの話じゃないか」

……とは言わないでくだせぇ。
睡眠時間は1秒たりとも削りたくない、というのもまた本心であります。
その代わりといってはなんですが、7月以降、もし売り豆の在庫が枯渇していたらそれすなわち「寝坊」を意味しますので遠慮なく罵倒してください。

ちなみに怠惰な男は更新を忘れてしまいそうなので、このホームページおよび twitter、Instagram のプロフィール欄は既に「14:00〜」と変更済みです。

ご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

焙煎 炊飯 キャラメリゼ

はじめちょろちょろなかぱっぱ。
土鍋炊飯のコツを示したこの言葉、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。
最初は弱火で全体を穏やかに温め、途中で一気に火力を強めてふかせるのが良い、ということである。

コーヒー豆の焙煎を始めた当初、様々な本を読んでこれと同じようなことが書かれているのを多く目にした。
すなわち、焙煎においても最初は弱火(または遠火)で「水抜き」をし、水分が抜けたところでグッと火力を強めるのが良いのだと。
しかし、現在の僕の焙煎スタイルはこれをきれいに反転させたようなかたちになっている(厳密には浅煎り・中煎り・深煎りで火のいれかたを変えているので一概には言えないけれど、特に深煎りのプロセスにおいて)。
マニアの方々からのツッコミが怖いので詳細は省くが、要するに「弱火→強火」が善しとされているところを「強火→弱火」でやっているということだ。

僕は三年ほど前から米を土鍋で炊いている。
そして炊飯においても同じことをしている。
「はじめちょろちょろなかぱっぱ」を意識してうまくいった試しがない。
強火で一気に沸騰までもっていき、弱火でじっくり炊いていくというスタイルに落ち着いているのである。

もちろん焙煎も炊飯もこれが正解なのかどうかはわからない。
今現在、自分の中でうまくいっているのがこのスタイルだというだけのことで、これまでも様々な変遷を辿ってきたし今後もどんどん変わっていくと思う。
ただ、この類似点が個人的にはとても面白い。

さらに。
当店にお越しいただいたことのある方はご存知かと思うが、星屑珈琲では付け合わせとしてコーヒーにナッツのキャラメリゼを添えている。
正直に申し上げて、ナッツ類は原価も高いし手間もかかるしけっこう大変なのである。
ではなぜやめないのか?
焙煎に似ているからである。

砂糖と水飴と少量の水を火にかけて溶かし、ナッツに絡めながら熱していくわけだけれど、しばらくすると水分の蒸発とともに一度溶けたはずの砂糖が再び結晶化する。
ほんの数秒で全体が一気に白くなる様にはマジカルな趣があり、僕はこれを「1ハゼ」と呼んでいる。
さらに熱していくと、再結晶化した砂糖がまた溶けはじめる。
そして茶色く色づきだす(2ハゼ)。
そこからが正念場。
火を止めるのが早すぎると結晶のザラつきが残り、遅すぎると鼈甲飴的ベトつきが出てしまう。
このタイミングを見極める緊張感。
そう、まさに焙煎と同じ感覚!
もうお分かりであろう。
キャラメリゼの加熱も当然のごとく「強火→弱火」である。

ああ、長々と書いてしまった。
昨日お客さんにクルミのキャラメリゼを褒められてとても嬉しかったのだ。

DEATH MASS to DA DEAL

遅ればせながら明けましておめでとうございます。
新年早々なにやら訳の分からぬメタルバンドのアルバムみたいなタイトルをつけてしまいましたが、別段深い意味はありません。
2018年はブログの文体を変えますよ、という意味です。

どういうことかと申しますと、これまでの「です・ます」調をやめて文末を「だ・である」にさせていただこうと思っておるわけです。
書きにくいのですよ、「です・ます」調は、文章が。
なので今この瞬間から「だ・である」調にさせていただく。

人格が豹変して横柄になったように感じられるかもしれない。
いや、違うのだ。
調子に乗っている訳では断じてない。
謙虚な気持ちと感謝の念、それだけは東海圏随一だと自負している(こういう言い方が調子に乗っているのだが)。
「です・ます」だと書きにくい。
なんだか借り物のような、例えるなら他人の家の台所で料理をしているような、旅先でレンタサイクルに乗っているような、そんな感じで細かな自由がきかないのである。
ただそれだけのことなのだ。
どうかご容赦いただきたい。

ただし、臨時休業や営業時間変更等、こちらの都合でみなさまにご迷惑をおかけする場合は、やはり丁寧な口調でお知らせすることになるだろう。
「都合により次の日曜は休む」
なんて書いたらさすがに無礼が過ぎるからね。

さて、年が明けて早10日。
ありきたりではあるが抱負のようなものをここに書き留めておこうと思う。
今年の抱負は2つ。

1. ブレンドを作る
開店時にはメニューにあったブレンドであるが、「どのストレートよりもおいしくない!」と思い早々に引き上げていた。
いつかここでも書いた通り、ブレンドは 1+1 が 3 にも 4 にもなる世界である。
2 ではつまらないし、0.5 になるならばそもそも混ぜる意味がない。
そう考えていたのだが、最近になってブレンドには豆の個性を弱める効果もあることを知った。
個性は時として、あるいは飲み手の好みによって、悪い意味でのクセになる。
そのクセを中和することによって「飲みやすい」「親しみやすい」味作りができるのではないか。
足し算や掛け算ではなく、割り算のようなイメージでブレンド作りを始めてみよう。
そんな考えに変わってきている昨今なのである。

2. 太る
年末年始、常連さんや久しぶりの友人たちから繰り返し投げかけられた言葉たち
「痩せた」
「やつれた」
「頰がこけた」
「大丈夫?」
「お前ガリガリだな」
そ、そんなに?
飲食店の主としてこれは由々しき事態。
僕は決して少食なわけではないのだが、もともと体質的に太りにくいのに加え、湯豆腐や蕎麦など食の好みが老人のようなところがある。
おそらく摂取カロリーよりも消費カロリーの方が勝ってしまっているのだろう。
いかんせんサラリーマン時代に比して労働時間は倍近くになっている。
なので今年は意識的に高カロリーなものを摂取していく。
腹八分では止めない。
おいしいものをたらふく飲んでたらふく食べる。
そんな年にしたい。
そして体力の限界を感じたら無理をせず、倒れる前にちゃんと休む。
30代ももう半ば。
新米の店とはいえ主の体は決して若くないのだ。
多々ご不便をお掛けするであろうが、暖かく見守っていただけると幸いである。

追伸
亜鉛のサプリメントを飲み始めたら面白いように味覚が復活した。

スランプ

商いをしている以上こんなことをわざわざ公表すべきではないのでしょうが、ここのところスランプに陥っております。
ただでさえ未熟な焙煎とお菓子作りがなおさらうまくいきません。
いつも通りのものをいつも通りの手順でなるべく丁寧にこなしているつもりなのに、結果できあがるもののレベルが落ちている。
場合によっては廃棄せざるを得ないほどにひどい仕上がりになるのです。

寒くなった影響だろうか、いや、材料が悪いのではないか、いや、あれのせいかもしれないしこれが原因かもしれない……となるともう何を信じればいいんだか分かりません。

このままではいかん、ちょっと外の空気を吸いに行こう。
と思い立ち、急遽日帰りで東京へ行ってきました。
好きなお店、尊敬するお店、そして気になる新店。
合計 7 店を一気に駆け巡った過密スケジュール。
コーヒーを飲みすぎてお腹がコポコポです。

でも残念なことに、心底おいしいと思えるものはありませんでした(失礼)。
老舗のブレンドも「ふむ」。
必ずおいしい甘みを出してくれるいつものお店のデミタスさえ「ん?」と思える。
大好きな蕎麦屋も必ず立ち寄るカレー屋も「あれ?」
なにかがおかしい。

深夜。
疲れ果てて名古屋へ舞い戻った僕は料理をするような気力も残っておらず、コンビニでカツ丼を買って帰りました。
するとどうでしょう。
味が薄い。
コンビニのカツ丼の味が薄いのです。
そんなはずないではありませんか。
コンビニのカツ丼が薄いはずないではありませんか。
そこで、僕は気づいてしまいました。
そうか。
やはりそうであったか。

結局おかしくなっていたのは僕の味覚の方だったようです。
しっかり鉄分を取ろう、という結論を得た休日でありました。

流行ると流行らない

自分としてはそんなつもりがなくとも気が張っていたようで、開店からずっと浅い眠りが続いていました。その反動でしょうか、久々に15時間ほどの睡眠をむさぼってしまい、せっかくの休日が台無しです。

当店にリピーターさんが多いとは既に申し上げた通りでございますが、あれから一週間、「すごく多いなあ」と感じております。
これまでの営業日数は12日。
そんな短い期間に、2回どころか3回4回、はたまた5回とご来店いただいている方が何名もいらっしゃいます。
心底ありがたいと同時に心底「なぜ?」と思います。
修行もせず、師匠もおらず、接客の経験すら乏しい男が好き勝手やっているだけの底の浅い店です。
いつ愛想を尽かされるのだろうか。
喜びは常に不安と表裏一体です。

夕方に目覚めた休日、夜な夜な実家近くのバーへ行きました。
渋くてお茶目で格好いいマスターがお一人で切り盛りされている、暗くて静かで素敵なお店です。
僕がぽつりぽつりと当店の話をしていると、マスターはこんなことを仰いました。
「バーは流行ると流行らなくなる」
曰く、静かな場所を求めているお客さんは、その店の席が埋まれば埋まるほど足が遠のいていく。
パタリと来なくなり、でもしばらくして店が苦しくなった頃にまた戻ってくる。
そしてまた繁盛する。
来なくなる……。
良い時・悪い時の波が繰り返し続くのはこの商売の宿命なのだと。
昔、先輩に教わったのだそうです。

わかるなあ、と思いました。
お客さんの立場として、僕自身がそういう人間だからです。
空いている店が好きなのです。
賑やかで活気のある店は苦手です。
だからこういう店を始めたわけです。
一方で、商売としてはなんともジレンマなコンセプトだなあ、と自分で思います。

先週は大変ありがたいことに一度だけ満席になりました。
でも勘違いしてはいけません。
営業時間の大部分、星屑珈琲はずっと空いています。
そしてみなさまのお越しをお待ちしております。
悩むにはまだまだ時期尚早ではございますが、満席になってもなお静かで居心地の良い空間というのは作れないものか、ぼんやり考えながら営業して参ります。