開店から10日が経ち

当店の定休日は月と火。
二日間のお休みをいただいております。
当初は「新参者が最初から休みすぎかな?」とも思いましたし、実際に親しい知人からは「商売舐めてるね」と言われたりもしましたが、体力のない男は結果的にこれで良かったと胸をなでおろしています。
休みといっても、月曜のうち半日は店で掃除や雑務をしておりました。
火曜は終日焙煎三昧です。
週休一日ではとても身が持ちません。

さて、開店から10日が経ちました。
まだまだとても短い、店の体制としても未だスタートラインから抜け出せていない未熟な状況ではございますが、短いながら分かったことや気付いたことがたくさんあります。
まだご来店いただけてない方の参考のためにも、当店の特徴を以下に書き留めておきます。


滞在時間が長い
開業前より、当店ではお客さんにゆっくりお過ごしいただきたいと願っておりました。
しかし、まさかそれがここまでのレベルで実現するとは……。
厳密に計測しているわけではありませんが、およそ8割のお客さんが1時間以上、そのうち3割のお客さんが2時間以上滞在されています。
「回転率は?」などと無粋なことを言ってはいけません。
未だ満席になったことのない当店、長居は大歓迎なのでございます。
むしろ30分以内で席を立たれてしまうと「なにか気にくわぬところがあったのだろうか!」と不安に襲われてしまうほどです。

お客さんが素晴らしい
失礼ながらこれも驚きのレベルでした。
当HPにはいくつかうるさい注意書きがありますが、そんな心配は無用だったようです。
マナーが悪いな、と感じたお客さんはただの一人もいません。
小さなお子様含め、みなさん静かに本を読んだり穏やかに会話なさったりしています。
焙煎に詳しい方がご来店された時などは緊張と興奮のあまり当の僕が一番やかましい人間になってしまいました。

リピーター率が高い
当店の集計によると、これまで7日間の営業でお越しいただいたお客さんの数は約140名。
そのうち2度以上ご来店いただいた方が……いまパッと頭に浮かぶだけでも15名ほどいらっしゃいます。
10日間で同じ店に何度も行きますか?
僕は行かないですよ。
なのでものすごく嬉しいです。
そしてリピーターさんの多くが仰るのが「広告を出さないでほしい」「目立つ看板を出さないでほしい」「秘密にしておきたい」といったことです。
正直に申し上げまして、現状宣伝活動がほとんどできていないのも看板に照明があたっていないのも、「あえてやっていない」のではなく「できていない」だけです。
もちろん方法や媒体は吟味しつつですが、これからどんどんもっと多くの方に知っていただきたいと思っているので、これは嬉しくも悩ましいところです。

本を読む方が多い
当店は「ブックカフェ」を標榜するつもりはなく、そもそもそんな資格もなく、あくまでコーヒー主体の店を目指しています。
カウンター席に文庫本を並べたのは「どうぞごゆっくり」というメッセージを暗に伝えるためでした。
店奥の本棚に至っては光を反射させる(天井のスポットライトの光はあまり横に広がらず、奥の壁がなんだか薄暗かった)ために開店2日前になって急遽自宅から運びいれたものです。
ところがどっこい、皆さんけっこう本棚をご覧になります。
(自分の本棚を見られるということがここまで恥ずかしいことなのか、ということも初めて知りました)
もちろん本を持参する方も多数。
複数の人が同じ空間に集い、じっと本を読んでいる。
その光景の美しさといったら、まあ!

夜には必ず誰かがいる
5時間誰も来ないこともありました。
そんな時は死が頭の片隅をよぎります。
瞬く間に満席に近くなることもありました。
そんな時は素晴らしき哉、人生! と思います。
完全に情緒不安定な人です。
ただ、特徴的だなと思うのは当店営業時間の終盤、午後9時〜11時。
この時間には少ないながらも必ずお客さんがいます。
そして「この時間に開いていてくれるのはありがたい」と感謝されます。
採算が合うようになるのかはまだわかりません。
しかし夜営業はお客さんも僕も適度に疲れて心なしか空気がユルくなり、且つとてもやりがいを感じるので余程のことがない限り続けようと思います。

そしてびっくりするほど儲からない
これは余談です。
愚痴みたいなことを言ってすみません。
今後あれやこれやと試行錯誤して参ります。
細かな変化を偵察しにお越しいただけると幸いです。